鳴尾浜計造-Blog

阪神タイガースへFA移籍した、新井貴浩選手の人的補償選手が、赤松真人選手（２５歳）に決定いたしましたので、お知らせいたします

投手の獲得を目指していたが、希望していた左投手がことごとくプロテクトされ、方針転換。ブラウン監督の評価が高く、選手層が薄い「右の外野手」という補強ポイントにも合致する赤松の獲得を決めた。

　ＦＡ新井貴浩内野手流出に伴う人的補償として、広島球団が赤松真人外野手を要求。本人に移籍が告げられた事が、明らかにされました。これまで幾度となくケガに泣かされ、阪神では才能を十分に生かし切れなかった赤松選手ですが、並外れた脚力などポテンシャルの高さは折り紙付き。タイガースにとっては惜しい人材の流出となりますが、新天地での成功を心からお祈りしています。

阪神タイガースは、FA宣言選手の獲得にともなう選手補償として、7日広島東洋カープより赤松真人選手（25）獲得の申し出を受け、同内容で赤松選手への通告を行いましたのでお知らせいたします。この選手補償は、フリーエージェントの権利を行使した新井貴浩選手（30）が、阪神タイガースに入団したことにともない、広島東洋カープに対して阪神タイガースが、その補償として応じるものです。

■赤松選手のコメント
突然のことで正直なところびっくりしていますが、決まったことなので、早く気持ちを切り替えて１日も早くカープで戦力になれるように頑張りたいと思います。

　年賀式の歓談の最中、「金本のときみたいに直前になって人的補償をやめることにした、オール金銭の補償にすることになったと広島さんが言うて来ないかな」と“大逆転”へかすかな望みをつなぐ関係者もいたが、願いは届かなかった。

◆　ブラウン監督ベタぼめ「彼は武器を持っている」　◆
　「私の意見は前から伝えていた。選ぶならこの選手をと。組織として決めた。１軍でも２軍でも試合は見ていた。彼は武器を持っている」

　ブラウン監督は５０メートル走５秒６で、０５、０７年にウエスタン盗塁王に輝いた俊足を高く評価。０５年には打率・３６３で同首位打者を獲得した打撃面にも期待を寄せ、層が薄かった右の外野手補強を喜んだ。強肩も魅力で、代走や守備固め要員としても計算している。

　赤松流出は今年の戦いぶりに影響を免れない。昨季も代走など少ない機会で８盗塁を成功させた。レギュラーでは赤星以外に盗塁を期待できる選手は少なく、機動力アップが課題のチームにあって、赤松は貴重な「走り屋」だった。

　外野の守備力でもダメージは大きい。左翼金本はベテラン、中堅赤星は首痛など体調不良を抱える。右翼は打力を優先して、守備力で劣る林、桜井を先発起用していた。少ないリードをＪＦＫリレーで逃げ切る勝ちパターンからも、外野の守備固めはベンチに欠かせないパーツだった。このオフは中村豊がコーチに転身したこともあり、今季の守備固め要員は一気に手薄となった。

　今回の流出は阪神の選手層が厚くなった代償ともいえる。５年前にも同じ広島から金本がＦＡ移籍したが、当時の補償は金銭のみだった。金本だけでなく過去５人のＦＡ獲得では相手球団から人的補償を求められることはなかった。金本以後、優勝２回で常に上位を争うチームになった結果が他球団から見て、欲しい選手のいる現状となった。

「最初はビックリしましたけどチャンスですし。広島は機動力があるし、足の速さを生かしてくる印象です。自分も嫌がられる選手になりたいと思います」
「絶対レギュラーを獲るぞという気持ちですが、あまり意識せず持っているものを出せるようにしたい。阪神ではプロに入っていろいろ教えてもらい感謝してます。生かせるよう、頑張りたいです」

　彼もきっと広島との縁を感じているだろう。名前も赤。好きな色も赤。平安高３年のとき、１２球団で唯一、赤松に興味を示したのが広島だった。そのときは監督と話し合って大学進学を決めた。「広島から話が来て、自分でもプロでやれるのかなと思うようになった。だから大学で成長できた」。鯉党の新井ショックを吹き飛ばす活躍を期待しています。

　チームには、１人くらい、剽（ひょう）げたお調子者がいてもいい。その明るさが全体を照らし、活気を作っていくものだからだ。比較的マジメな選手が揃っている阪神には、そういう意味で損失だが、広島で彼の個性が光ることを願う。憎らしいぐらい、光り輝け。リストに残さなかったことを後悔させるくらい、強烈に輝いてみせろ。まだまだ２５歳。可能性を信じ、胸を張っていってくれ。

余裕のエールとはいかない。前日に赤松から電話で連絡を受けたという赤星は「ミスして、アホとかいわれていたけど、経験が足りなかっただけ。能力はすごい。広島でレギュラー定着したら、一番（盗塁王を）獲る確率が高いんじゃないかな」。

　赤松の新人時代から相談も受けていた。「タイミングやスライディングに弱さがあったけど、昨季は思い切りもよくなってきていた。イヤな選手。これから敵になると思うと脅威ですよ」

「『赤・赤』で注目されたし、寂しい気もする。ただ、レギュラーになれば、あいつが盗塁王を獲る確率は一番高い。間違いなくライバルになる」

「すごいものを持っているし、経験を積めば、力を発揮するタイプ。間違いなく、盗塁王になれる存在。ライバルになる。寂しい気持ちはあるけど…」

昨年１２月に結婚を発表し、芦屋市内の新居に引っ越したばかり。妻・寛子さんに不安を与えないか心配したが、逆に「ええやん。やったれよ」とゲキをもらったという。

2008/1/10 赤松　真人 外野手 阪神 → 広島東洋
（※新井貴浩のＦＡ移籍に基づく人的補償による）

◆　広島市大でのイベントに出席　◆
　質疑応答では球団の戦略などに関する質問は避けるように通達されていたが、男子学生から「（人的補償で）赤松選手を獲得しましたが、必要なのは左投手では」と厳しい質問も飛んだ。一瞬ざわついた雰囲気にも、指揮官は「いい質問だ」と余裕たっぷり。「左投手はコズロースキーを獲得したし、高橋や青木高らがいますから。赤松の走塁を見たことがありますか？彼は試合の中で何かを起こせる選手」と絶賛した。

　広島マーティー・ブラウン監督（４４）が学生に本気で反論した。１０日、広島市立大で特別講義を行い、学生から「なぜ赤松をとったのか。左投手はいなかったのか」と質問を受けた。それまではなごやかムードだったが真顔で「君は彼の足を見たことがありますか」とやり返した。

　阪神からのＦＡ補償選手で赤松を指名。リストの中には確かに投手もいた。しかし「高橋も青木高も篠田いる。コズロースキーという素晴らしい外国人とも契約した」。赤松についても「突出した武器を持っている選手は試合の中で何かを起こしてくれる」と主張した。

　その男子学生は「（赤松を）見たことがあります。昨年は８盗塁、打率１割５分…」と続けたが、監督の勢いに押されて静かに着席。どちらが正しいかはともかく、新戦力への期待のほどが分かる一幕だった。

　移籍決定からわずか８日の赤松。「初めが肝心だし、遠慮してはだめ」と、４カ所に分かれたノックではひと際大きな声を張り上げ、存在をアピール。周囲にも自ら話しかけ、積極的に溶け込んだ。

　足のスペシャリストは阪神時代、広島投手陣の投球フォームを研究してきた。「カープの投手のくせとか、なぜ走られるのかを教えることができれば」。プレー面だけではなく、側面からもチームに貢献することを強調した。

　阪神とも完全に「決別」した。１３日に阪神の練習場・鳴尾浜を訪れ、岡田監督はじめコーチ陣、選手たちに移籍あいさつをして回った。久保投手コーチや吉田バッテリーコーチからは「走るなよ」と警戒されたという。これからは敵同士。育ててもらったお礼はグラウンドで遠慮なく返す。

　広島の合同自主トレが１５日始まり、倉が阪神から移籍した赤松から虎情報を聞き出し、活用していくプランを明かした。「言える範囲でいいから阪神や広島について教えてもらって、役立てたい」。赤松とは同じ京都の出身で２年前から親交がある。「うちの投手のくせとかも本人に教えれば、走られるのを少なくできると思う」。新選手会長は“京都ホットライン”でチームを救う。

　倉と赤松はともに京都出身でお互いを深く知る間柄。移籍決定後すぐに電話で会話もしている。赤松もそんな先輩からの「指令」は断れないはず？　ただ、情報開示については慎重だ。「まだ僕は１軍を争っている立場。ライバルに有利な情報を簡単に言っちゃうのはどうか。僕だけのアドバンテージも持っておきたい」。財産を簡単に放出するつもりはない。もちろん「僕がレギュラーになれればその時は何でも言いますよ」と協力には前向き。広島投手陣のクセも「言っていきたい」と約束した。

走塁を武器にする男は、古巣・阪神の投手を含めた同じセ・リーグ主力投手の癖について「僕しか知らないことは、簡単に人には言えない」という考えを明かした。
　もちろんこれは、１軍定着にかけるどん欲な姿勢の表れだ。「１軍でバリバリやっている選手ならまだしも、僕はこれからレギュラーを狙う立場だから」。新しいチームメートは、定位置を争うライバルでもある。一方で広島投手陣の癖に関しては「気付いたことは伝えたい」と話した。
　１３日は阪神へのあいさつのため鳴尾浜を訪問。岡田監督に「頑張れよ」とエールをもらった。活躍して古巣へ“恩返し”するため、赤松は早くも真剣勝負モードだ。