鳴尾浜計造-Blog

　鳴尾浜の新人合同練習の冒頭、続木敏之トレーニング・コーチが全員に「おい、神戸の方を向け」と命じました。
「１３年前の早朝、大地震があったことはみんな知ってるだろう。犠牲になられた方々のご冥福を祈ろう…」と続木コーチは若者たちと黙とうをしました。彼は震災当時もトレーニングコーチをしていた。甲子園も一部損壊した。神戸に親戚があり心配で心配で…という経緯がありました。それで今を元気で無事でいることをあらためて感謝する思いも込めての黙とうとなったのでした。この話を伝え聞いた球団常務の沼沢正二本部長は「それはとてもいいことをしてくれた…」と感激していたそうです。

当時、尼崎市内の自宅で被災した続木コーチの発案について沼沢球団本部長は「球団としては何も考えていなかった。よく新人に伝えてくれたと思います」と語っていた。

当時５歳だった高浜は「周りに聞いたぐらいしか分からないです」。清原は「中学の現代史で習いましたが…」

今年のルーキーは関西出身者ゼロ。震災体験者もいない。「震災のことは、歴史の教科書に載っていました」と同３巡目の清原（常総学院）。当時まだ小学校入学前だった子供がプロの門を叩く、それだけの年月が過ぎたのだ。

「鳴尾浜？　行きますよ。走りに行きます」

「焦ってケガをするな、という考え方もあるんでしょうけど…」。その後は口をつぐんだ。オレはどうしても１軍でやりたいんだ−。強い決意が顔にのぞいていた。

「体がだいぶ変わってきた。野球の動きに結びつけるのが楽しみです」。昨年１１月２３日時点でベンチプレスは８０キロ６回、スクワットは１２０キロ６回だったが、この日の測定ではそれぞれ９０キロ９回、１４０キロ７回に。また上腕は２センチ強、太ももは約３センチ太くなった。パワーアップして一軍定着を目指す勝負の５年目に挑む。

　キッカケはオフに知り合ったロッテ・成瀬の一言。星野ジャパンの一員にまでブレークした同じ左腕から「僕はランナーが出ると楽しくなるんですよ」と打ち明けられた。打たれてはいけないと萎縮するのでなく、打者との勝負を楽しむ。究極のプラス思考でワンランク上の投手を目指す。

「ここ(「ＷＯＲＬＤ　ＷＩＮＧ」)に来ると、体が仕上がるのが早い。昨年のキャンプもいい状態だったし、今年も２月１日から全開でアピールしないといけないから」
　五輪野球日本代表の岩瀬や、２００勝にあと「７」に迫った中日の山本昌らと交流できるのも、ここでトレーニングをするメリットの１つ。トレーニング場はもちろん、夜は鍋を囲んで野球談議に花を咲かせる。

「去年は新人で気楽にできた。ケガだけはしないように、と。今年は立場が違う。（キャンプ）始めから、みんなに負けないように頑張りたい」

清水（右）とともにノックを受ける安藤はいたずらっぽく舌を出す

「去年の分を取り戻すんだ！！　と今年に懸ける決意を感じるよね。心配はオーバーワークだけ。それはこっち（首脳陣）でストップをかけないとね」

「実績だけを考えれば先発のコマは明らかに足りない。でも、そろそろ出てくる。中でも岩田。ブレークするかもしれない。遠山投手コーチが『少し腕を下げて投げてみれば』とアドバイスした途端、１０月のフェニックスリーグ（宮崎）から別人のように変わった」
「去年、ボクもすごく勉強になった。体格の良しあしやオーラがあるとかないとか、そんな先入観で選手を見ちゃダメということ。（中継ぎで活躍した）渡辺が証明してくれた。あいつは小柄（１メートル７５）で、ナックルボールが売りで入団してきたけど、それももうひとつ。正直、将来的にも１軍マウンドに立つなんて想像できなかった。それがあの働きでしょ。岩田なんて、才能は全然上ですよ。要は気持ち」
「阪神の選手はちょっと活躍しただけで勘違いしてしまう、と言われるけど、逆に今の若手投手はダメダメと散々いわれて、相当カチンときているはず。いい発奮材料にしてほしいね」

実戦復帰に掲げる故島野氏の追悼試合となる３月５日の広島とのＯＰ戦（京セラＤ）へもあらためて出場意欲をみせた。
　「守るのは無理かもしれんが、打席に立つ方は大丈夫や」

練習パートナーを務めた四国アイランドリーグ、徳島の小松崎を相手にしたキャッチボールでは、スライダー、シュートを披露。トラック上での立ち投げとはいえ、切れ味鋭い変化球は仕上がりの良さを感じさせた。
　下柳の野球に対するひたむきな姿勢は小松崎に有形無形の財産をもたらしているが、下柳本人も１４歳年下のプレーヤーから刺激を受けている。社会人、独立リーグの違いがあるとはいえ、下柳もプロ野球を目指し死ぬ気で練習した新日鉄君津での３年間があった。「元気があっていいよな。プロに来てほしい？もちろんや」。ともに汗を流している、小松崎の今後の躍進を願った。

「カージナルスと（マイナー）契約が詰めの段階にきている。ほかにも興味を示している球団がある」