投球術の目標の一つとして「打者にフルスイングをさせない=長打を許さない組み立て」があると思うのだが、一般的な被長打の目安である被本塁打率 (HR/9) は
・球場によって広さが違う。
→本塁打にするために必要な飛距離にばらつきが有る。
パークファクター補正を考えるのはめんどくさい...
・ウエスタンリーグには筋力不足で本塁打が打てない選手が
それなりにいる。
→投手が失投しても、打者が非力で本塁打にならずに
すむ率が馬鹿にならない。
・そもそも本塁打は統計の対象としては本数が少なすぎる。
→HR/9 の数字の信憑性が薄い。
と、いろいろと不満が有る。そこでHR/9 以外の指標として
XBA/9 (被二塁打+被三塁打+被本塁打)×9 / 投球イニング
1試合9イニングあたりに打たれる長打の数。
IsoP 被長打率-打率(SLG-AVG)
XBA/9 と比べて塁打を重視して補正をかけることに
を調べて一覧を作ってみました。
2007ウエスタンリーグでの鳴尾浜投手陣の被長打に関する成績。
XBA/9の低い順。一軍格の投手は下段に分離。
ERA G IP XBA/9 HR/9 IsoP
鶴 0.00 1 1.0 0.00 0.00 .000
田村 3.54 13 20.1 0.89 0.44 .052
中村泰 1.80 19 70.0 1.16 0.26 .057
筒井 3.38 41 40.0 1.80 0.68 .095
桟原 1.82 25 34.2 1.82 1.04 .116
岩田 2.37 12 38.0 1.89 0.24 .082
若竹 2.65 14 57.2 2.03 0.78 .110
太陽 2.28 14 71.0 2.28 0.38 .105
横山 9.82 4 3.2 2.45 0.00 .067
相木 4.50 27 28.0 2.57 1.29 .140
水落 9.00 6 7.0 2.57 1.29 .148
伊代野 4.28 29 27.1 2.63 0.66 .132
吉野 3.97 32 22.2 2.78 0.40 .122
小嶋 5.45 9 34.2 2.86 1.56 .170
玉置 7.94 18 22.2 3.97 0.79 .198
正田 6.00 12 15.0 4.20 0.00 .113
辻本 3.24 9 8.1 4.32 1.08 .171
金村 9.37 14 16.1 7.16 2.20 .338
三東 登板無し
ﾎﾞｰｸﾞﾙｿﾝ0.00 1 2.0 0.00 0.00 .000
江草 2.00 9 18.0 1.00 1.00 .090
橋本健 1.23 7 7.1 1.23 0.00 .042
杉山 2.03 7 40.0 1.58 0.23 .068
福原 2.66 9 44.0 1.84 0.20 .074
ﾀﾞｰｳｨﾝ 1.82 19 39.2 2.04 0.23 .077
ｼﾞｬﾝ 3.46 4 13.0 2.08 0.69 .102
能見 2.51 7 43.0 2.09 0.63 .108
渡辺 2.13 9 12.2 2.13 0.71 .100
上園 3.09 10 43.2 3.09 0.62 .138
安藤 1.80 3 5.0 3.60 1.80 .190
ウエスタンリーグの投手の被長打に関しては XBA/9 が指標として一番だと、私は思ってます。打者の非力さ,球場の広さ,外野守備の影響を切り捨てられてる気がするから。XBA/9 は HR/9 よりも要求が厳しい指標ですが、一軍を目指す投手ならウエスタンの打者には二塁打すら打たれないで欲しいということです。
さらに個人的にですが、投手の被長打に関して「球質が重い」との考えには懐疑的。「ストレートが癖玉(タイミングをとりにくい or 微妙に変化している)で差し込まれやすい」との考えなら可。
2007ウエスタンの鳴尾浜の戦績の見直し作業、ようやく満足いくレベルで終了。これで捕手成績に本格的に手がつけられる。...盗塁関連はだいぶ推測まじりになっちゃうけど。
